2021.08.30
「知識+高次元の思考=成長」
巣鴨独自の国際教育によって本当に
世界で活躍する人材を育成する!
JR 大塚駅・JR 池袋駅から徒歩圏内の、閑静な住宅地の中に木のぬくもりを感じる校舎をもつ、創立以来100 年を超える男子進学校、巣鴨中学校・高等学校。
毎年、国公立・医学部への進学率は圧倒的な高さを誇る。今回は、巣鴨独自の国際教育プログラムを経験した生徒さんと、プログラムを企画・運営する先生にインタビュー。オリジナリティ溢れる同校の教育を深掘りした。
巣鴨独特の国際教育から見える本物の「国際教育」とは。
巣鴨学園では、世界で活躍できる人材の育成のために独自の国際教育プログラムを数多く実施している。その中でも、今回は「巣鴨サマースクール(SSS)」と「ダブル・ヒーリックス:二重螺旋」について、国際教育部長の岡田英雅先生にお話を伺った。 SSSやダブル・ヒーリックスに代表される巣鴨独自の国際教育は、岡田先生の現在の国際教育に対する問題意識から生まれたものだという。「基本的な知識や教養なくして英語教育、国際教育とはいえない」と話す岡田先生は、現在の国際教育が英語での平易な意思疎通に重きを置きすぎてはいないかと疑問をもち、コミュニケーションの土台部分である知識や教養を育み、英語はあくまでも「コミュニケーションの手段」として身につけていくプログラムを構想。それがSSSやダブル・ヒーリックスとして形となっているのだ。 巣鴨の国際教育のひとつである「巣鴨サマースクール(SSS)」は中学2・3 年生、高校1 年生を対象に、6日間の合宿をしながらイギリス人講師に学ぶ画期的なサマースクールだ。講師には、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学を卒業し現在は様々な方面で活躍するイギリス人が招かれ、各講師の専門分野をレッスンに落としこみ、すべてを英語で学んでいくそうだ。中学3 年生のときにSSSに参加した高校2 年生田窪稔也君は、「SSSを終えて家に帰ってきたとき、ゆで卵のことを咄嗟に『ボイルドエッグ』といってしまうくらい、どっぷり英語漬けになれた」と話す。
ダブル・ヒーリックスの授業
スポーツアクティビティの様子
「『世界に出る』とはこういうことなのか!」
巣鴨の国際教育だからこそ感じる「難しさ」と「楽しさ」
巣鴨の国際教育プログラムのひとつ、「ダブル・ヒーリックス」は、今年オンラインで巣鴨を含む8校共同で行ったそうだ。SSSと同様にオックスフォード大学、ケンブリッジ大学を卒業して様々な方面で活躍するイリス人講師を招き、約1か月間で知識、教養を身につけるとともに、課題をこなす中で問題解決能力、分析能力などいわゆる「高次元の思考」を育んでいく。ここでも、英語はあくまでもコミュニケーションの「道具」として学ばれている。 ダブル・ヒーリックスにも参加した田窪君は、「当たり前だけれど、何か人と作り上げていくには、自分が苦手だと感じる人ともある程度関わらなければならないことを感じた」と話す。これは、さらに広く考えれば世界に出ていけば自分と相性が合わない人とも協調性をもって成し遂げていかなければならないという困難さをすでに感じているということではないか。また、「巣鴨生だけではなかった分、日本にも『こんなに面白い生徒がいるんだ!』と刺激的でした」と田窪君は楽しそうに話してくれた。 ダブル・ヒーリックスを企画した岡田先生は、「それまで自分が持っていた知識と新しく得た知識を融合させ、新しい知識を生み出していく。これを何度も繰り返すことで、ようやく自分らしさが出てくるんですよ。すると、『自分以外の人はどう考えるんだろう』と必然的に疑問に思うようになって、誰かと議論したくなる。そこに学びの本当のワクワクさがあると思う」と話す。ダブル・ヒーリックスは英語能力の向上だけでなく、学びの本当の楽しさを肌で感じるプログラムになっているのだ。今後は、現在参加している8 校だけでなく、WLSA(World Leading SchoolsAssociation)に加盟している世界中の名門校とも共同していこうと考えているようだ。「課題への取り組みを共有すれば、今よりもさらに面白いものが必ずできる。教員として、学ぶ楽しさを巣鴨生だけでなく世界中の生徒に感じてもらいたい」と今後の構想について岡田先生が熱く語ってくださった。
SSSでの田窪君の様子
SSS講師たちと、オックスフォードへ進学した金田くん
実感・体験を重視する行事から生まれる「巣鴨生らしさ」
田窪君は、二つのプログラムを通して英語に対する自信がついたという。「自分の英語力が格段に上がっていくのが実感できて、プログラム参加後の勉強に対するモチベーションにつながっている」と話す。彼は現在、国立大学医学部を目指し勉強に励んでいる。 田窪君の周りに国公立医学部を目指す生徒が多いように、巣鴨は伝統的に国公立・医学部への進学率が圧倒的に高い。この実績の背景には、巣鴨のコミュニケーション重視の教育があるといえる。普段の授業でも、「論理的に最初から最後まで解説してくれる先生が多い」と田窪君。サポートの手厚い先生方とのコミュニケーションが普段の学校生活のなか でも行われているようだ。また、巣鴨の行事の中でも、春に行われる「大菩薩峠越え強歩大会」などは、生徒たちが共同生活の中で成功体験を共に味わうことで一体感が生まれるという。「受験が団体戦といいますが、まさに巣鴨の受験は『団体戦』です」と学年の絆の強さを田窪君は話してくれた。 「受験、絶対にやりきります」と力強く語ってくれた田窪君には、国際教育で取り入れられているイギリスの伸び伸びとした人間教育や、生徒間だけでなく先生とのコミュニケーションで育まれた「まっすぐな巣鴨生らしさ」が感じられた。
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