rogo

2021.08.30

school-logo

Flying to the world を合言葉に、
世界に羽ばたく人材を育てる

東京都市大学付属中学校・高等学校へと改称し、主体的な学びを推し進めた第一期の改革(2009年~)。Ⅱ類(最難関国公立大コース)、Ⅰ類(難関国公立大・私立大コース)に分け、志望大学への現役合格を目指すカリキュラムを整えた第二期の改革(2013年~)。さらに、帰国生を積極的に受け入れ、生徒間に化学反応を起こさせる仕組みの導入。改革の総仕上げ期を迎えた同校を取材した。

合格実績と生徒の人間的成長を両立

「順調に来ていて、私のやることがないんですよ」。学校改革の経緯をひと通り語った後、皆川勝校長は柔らかな笑みを浮かべてこう述べた。その言葉からは、自信が伺える。それもそのはず、2021年度入試では、現役進学率83%、生徒の5割以上が難関国立大、医学部、早慶上理といった上位校に進学するという素晴らしい実績を上げたのだ。数値的な合格実績だけではない。中高6年間を同校で過ごした生徒たちは、それぞれに個性を育み、自らの目標を定めたうえで巣立っていく。その頼もしい姿を見て、「この子たちは大丈夫だ。自分たちで人生を切り拓いていける」と、皆川校長はじめ教員は確信を得ているのだろう。 その背景には、Ⅱ類・I類のカリキュラムを整えた翌年より継続している、帰国生の積極的な受け入れがある。1年目には19名だった受け入れ数を、2年目には45名に拡大。帰国生は1クラスにまとめず、学年全体に散りばめている。その結果、さまざまな国や地域で生まれ育った個性豊かな生徒たちは、クラスに刺激を与える存在となり、国内生の成績向上にもつながるという良いサイクルができてきている。 一方、帰国生の優れた語学力を保持・伸長するため、英語の時間は週4回の「取り出し授業」を実施。ネイティブの先生がオールイングリッシュで行う授業はかなりハイレベルで、なんと英検1級~準1級レベル。魅力的なシステムだと、帰国生や保護者の間で好評だ。生徒同士も英語でコミュニケーションをとり合うなか、スラングからアカデミックな語彙まで流暢な英語が飛び交っている。

自動車部の大会に出場している内山響君、笠井豪真君

個性的で主体性あふれる生徒たち

部活が活発なのも、同校の魅力だ。公立校には少ない「自動車部」の中学2年生5人に話を聞いた。千村健太くんは、スペインとアメリカに計4年半滞在した帰国生。取り出し授業に魅力を感じて入学を決めたという。赤松優元くんも、アメリカに5年間滞在し、現地校に通っていた帰国生だ。中学入試に合わせて帰国し、同校に入学した。決め手になったのが、自動車部。「大人になったらIT系で起業したい」と将来に向けても意欲的だ。 一方、小股和真くん、内山響くん、笠井豪真くんは国内進学組。小股くんは「自動車部の部員はみんなノリがいいから楽しい」とのこと。内山くんは「入学して初めて男子校だと気づいた」と言うが、「クラスメイトやクラブの仲間も楽しいヤツばかり」と今では男子校生活を謳歌している。戦艦などのプラモデルが趣味だという笠井くんからは、「みんな個性的で、それぞれに面白さがある。でも、女子がいないのはちょっと寂しい」と思わず本音が。個性豊かなメンバーだが、ものづくりは楽しいと声を揃える。笠井くんのように、レゴやプラモデル、電車の模型などが好きな子が、自動車部には多いのだそうだ。趣味が合う仲間との時間は格別だろう。ちなみに、5人に学校のお気に入りポイントを尋ねると、「カフェテリアが美味しい」とのこと。食べ盛りの中高生に、これほどうれしいことはない。 同校の学校パンフレットの冒頭には、「自らの意思で未来を切り拓く」という言葉がある。自動車部の5人の生徒たちは、自分が何に興味があり、将来をどのように描いているか、自らの想いを言語化できていた。周りの意見に耳を傾け、相手を尊重しつつ、自分の意見もはっきりと言える。これは、これからのグローバルかつダイバーシティな時代において、非常に重要なことである。同校の教育システムは、この子たちに素晴らしい将来を約束しているように思われた。

合格実績を支えるきめ細やかな指導

オンライン指導も、合格実績を支えた。コロナ禍で休校を余儀なくされたなか、高校3年生を中心にオンラインでの添削指導を積極的に行なった。その結果、難関大の英作文や国語の記述問題の力が確実についたという。今年度は、タブレット端末を使用した指導についても拡充中だ。また、理科では物理・化学・生物・地学の全分野にわたって専任の教員がいて、中1の初歩から高3の大学受験まで指導しているのも進学実績を伸ばしている要因だ。 キャリア学習にも注目したい。中高一貫校において中だるみしやすい中3、高1の時期に、将来を考えさせる「キャリアスタディ」を実施。卒業生や同窓会に協力を願い、職業について学ぶ機会を創出している。ただ講話を聞くだけでなく、生徒は自分が興味のあることについて、4000字程度の中期終了論文を執筆する。先生と何度もやり取りをしながら論文を完成させた経験は、その後の大学受験においても大きな財産となる。

記事一覧へ

MENU