2021.08.30
中学受験歳時記
第29回 スポーツの日
株式会社アートオブエデュケーション代表 安浪京子
コロナ禍で開催が危ぶまれる中、7月23日、東京2020オリンピックの開会式が挙行されました。初めて日本でオリンピックが開催されたのは1964年。開会式にあたる10月10日はその後、「体育の日」としてずっと固定された祝日でした。毎年10月10日の運動会を心待ちにしていた……という記憶は、今の中学受験生の親世代あるあるですよね。
しかし、「体育の日」は2000年に10月第2月曜日に変更され、2020年からは「スポーツの日」と名称変更、さらに今年はオリンピック開会式に合わせて7月23日に変更となりました。
約50年の間に、“国民の祝日”ですら、時代に合わせて日にちが、名称が変化します。これは教育とて同じ。国の教育制度も常に変化し、そのために公教育が迷走することもありました。
さて、首都圏には創立100年以上の私学が100校以上あります。100年という長い期間の中には、戦争や自然災害、大きな恐慌など多くの受難がありました。時の校長たちが建学の精神や教育理念を守りつつ、わが校を時代の荒波から守るのがどれほど大変だったかは想像を絶しますよね。
長い歴史や伝統を持つ様々な文化、産業、商品は、昔の形に固執したままでは生き残れません。時代を超えて大切に守る部分、時代に応じてしなやかに変化させる部分のバランスを取ってきたものだけが、生き残ります。
これは私学とても同じ。学校選びについてはコロナ禍でますます「大学附属か進学校か」に拍車がかかりました。一般には「進学校=難関大学への進学率の高い学校」という意味を持ちますが、時代の変化の中で「進学校」の意味合いも多様化してきたように感じます。
今号は男子進学校。それぞれの学校を「進学校」たらしめるのは何なのか、ご家庭の中で「進学校」をどう意味づけるか――そんなことを意識しながら読まれてみると、東大現役合格者数だけでは見えてこない、各進学校の魅力が明確に浮かび上がってくるのではないでしょうか。
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安浪京子
算数教育家。中学受験専門カウンセラー/コンサルタント。
中学受験のためのプロ家庭教師派遣「株式会社アートオブエデュケーション」代表取締役。
算数のプロ家庭教師として最難関校から算数嫌いまで多数の生徒を合格に導く。
「きょうこ先生のはじめまして受験算数」(朝日学生新聞社)、「中学受験からの大逆転メソッド」(文藝春秋)など著書、連載多数。
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