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2022.07.15

第30回 夏休み

株式会社アートオブエデュケーション代表 安浪 京子

子ども達が待ちに待った夏休み!海に花火に帰省…というのは、SCHOOLを手に取られている皆様のご家庭では過去の風物詩かもしれません。
中学受験生にとって、夏休みといえば「夏期講習」。初めて夏期講習のスケジュールを見られた時は「小学生なのに、夏休みにこんなに塾の日があるの!?」と親子で驚かれたのではないでしょうか。
しかもコロナ禍でさらに中学受験が過熱化・低年齢化している昨今、低学年保護者の皆様からも「夏休みは旅行に行ってはダメでしょうか?」「夏休み中、どこまで先取りしておくべきですか」という熱心な質問が増えています。そこで、既に中学受験を終えた保護者の皆様に夏休みを振り返ってもらいました。すると、多くの方が「ずっと勉強漬けだったのに全く効果がなかった」「勉強をやらせ過ぎた事を後悔している」「もっと小学生らしい時間も大切にしておけば良かった」という意見を本当に沢山頂きました。結論からいえば、勉強漬けの夏休みを過ごしても心身共にまっとうでいられるのは、中学受験が我が事であり、主体的に勉強できる子だけです。しかし、まだ入試が遠いこの猛暑の中、そんな小学生が一体どの位いるのでしょうか?
多くの小学生にとって、勉強漬けの夏休みは地獄でしかありません。さらに恐ろしい事に、勉強漬けにすることによってむしろ成績が下がり、気力も低下することは珍しくありません。
そこで是非、今年の夏はお子さんの「引き出し(容量)」を意識してみて下さい。引き出しに物をパンパンに詰めると、引き出しそのものが開かなくなり機能しなくなってしまいますよね。勉強にとって大切なのは、引き出しがきちんと整理されており、常にスムーズに開いて必要な知識が取り出せる状態です。お子さんによって、適切な学習時間や学習量(=引き出しの容量)は異なります。そして、引き出しをスムーズに開けるための潤滑油は「勉強以外の時間」です。冒頭でお話した海や花火は敵ではなく、むしろ必要になる事もあります。何より、小学生の夏は今しかありません。「中学受験生の夏も今しかない」と思われた方は、受験を終えた保護者の皆様の感想をもう一度、読まれてみて下さい。小学生男子は、勉強をめぐる親とのバトルを派手に繰り広げた後でも、平気で「ママ~」とすり寄ってきます。でも、そんな時期もあと数年で終わりです。男子校の国語の入試問題には、女子の初恋や独居老人の孤独など、小学生男子には全く想像のつかない心情読解で溢れています。それらを塾のテキストでむりやり頭に入れても応用は効きません。他者理解は色々な経験を通して、様々な人と会話をする事から。貴重な小学生男子の夏休み、そんな時間を組み込まれてみませんか?※オンライン『中学受験カフェ』では、毎月オンライン相談会を実施しています。ぜひご活用下さい。
https://juken-chugaku.com/

安浪京子

算数教育家。中学受験専門カウンセラー
中学受験のためのプロ家庭教師派遣「株式会社アートオブエデュケーション」代表取締役。
算数のプロ家庭教師として最難関光から算数嫌いまで多数の生徒を合格に導く。
「きょうこ先生のはじめまして受験算数」(朝日学生新聞社)
「中学受験からの大逆転メソッド」(文藝春秋)など著書、連載多数。

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