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2021.12.30

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コロナ禍であっても探究的な学びを継続
愛ある人として自分で考え、行動する人を育てる

2021 年度から海外から帰国できない受験生のためにオンライン入試をスタート、今まで以上に帰国生枠の問い合わせが増えている不二聖心女子学院。国内外に広がる聖心女子学院の姉妹校ネットワークを生かし、海外留学のプログラムも豊富で、1割以上の高校生が在学中に留学を経験している。今回は1年間の留学を終えた二人の高校3年生に、留学生活や将来の進路などを聞いてみた。

豊かな自然に恵まれたチェコの田園地帯
チェコ語オンリーの授業にトライ

まず初めに、東欧の国・チェコに1年間留学した土屋こころさん(高3)に話を聞いた。留学への夢は、なんと小学生の頃から芽生えていたと言う。「父が仕事で海外に行くことが多く、いろいろな国が身近でした。高校生になったら留学したいと家族に話したら、祖母に薦められたのが不二聖心でした」。そこで初めて知った不二聖心を訪問、受け取った学校案内を開いたとたん、留学プログラムの豊富さに惹かれて受験したとのこと。入学してみると外国語に関心の高い生徒が多かった。中3のとき、念願の留学先は、街並みが美しいチェコに決めた。2019年9月から、スロバキアに近い公立校で学ぶことに。ホームステイ先はのどかな田舎地帯にあり、ニワトリを飼い、庭にはぶどう、りんご、桃、クルミなどが実る自然がいっぱいのところだった。ホストファミリーは英語が通じるものの、公立校の授業はチェコ語オンリー。土屋さんはチェコ語を学ぶために地元の語学学校にも通いはじめたという。「留学の間、ずっと通いました。そこで日本語がわかる先生に出会ったのはうれしかったです。『クリスマスまでにチェコ語で会話ができるようになる!』という目標を立ててがんばりました」と笑う。公立校のクラスは20名と少人数。「授業が終わると、それぞれ個別にクラブチームに向かいます。日本のようにクラスで一致団結というより個人での活動を尊重しているので、少し戸惑いました。しかし、徐々に慣れ、留学仲間と出かけたプラハ旅行などの交流や悩みを打ち明けられる仲間の存在が私を助けてくれました。」英語、数学、地理の授業はチェコ語でも理解できた土屋さんだが、ホストマザーが本当の子どものように扱ってくれて、数学を教えてもらったこともあったそう。

本当の家族の様な温かさのホストファミリー

土屋こころさん(高3)E.S.S. クラブに所属し、学院祭「秋のつどい」では、英語劇で活躍

1年間で会話も可能に。英語圏以外の文化に興味を
抱くきっかけに

「記憶に残るのは、公立校で1月に行った1週間のスキー旅行。チェコ語のみで生活するなか、自然にチェコ語が話せるようになり、自分のなかで成長が感じられました」と明るく話す。この留学で、思った以上に素敵な田園での暮らしを体験した土屋さん。今までの都会に住みたい!が一転、のどかな場所に住みたいと思うようになったという。帰国したのは、日本でもコロナ感染が広がり始めた2020年3月。来年の進学に向けて、「大学に入ってもチェコ語を続けたいので、進学を希望しています。今回の留学でたくさんの留学生と出会い、それぞれの国の文化やバックグラウンドが気になりました。もっと英語以外の言語も学んでみたいし、また留学したいと思います」と話してくれた。

クラブ活動も交流の場。冬のコンサートに参加してチェコ語が上達

現地の小学校で、日本についての授業を実施

女性大統領が活躍する
ニュージーランドの姉妹校に留学

「姉が不二聖心の卒業生です。寄宿舎生活だったので、週末に帰ってくると、その度に学院での楽しい話を聞いていたので、わたしも迷わず不二聖心を受験しました」と、話してくれたのは後藤あずささん(高3)。2020年1月から2021年1月まで、ニュージーランド・オークランドの姉妹校に留学した。「高1で留学を考えたとき、両親に『海外に行くなら姉妹校が安全・安心でいいのでは』とアドバイスされ、私自身カトリック系の学校で学びたかったので姉妹校から選びました。」聖心女子学院の姉妹校は世界各国に146校あり、後藤さんが選んだのはニュージーランドだ。女性の社会進出に興味を持ち、女性のアーダーン大統領が活躍する国であることに魅力を感じたこと、また、女子が先頭にたって物事を動かす女子校ならではの学院生活に刺激を受けていたので、女子校に抵抗はなかったという。「今回の留学で、はじめて海外のクリスマスを体験しました。日本では冬がクリスマスだったので実感が湧かなかったのですが、サマークリスマスです。夏にクリスマスソングを聞いて、暑くなってきたからサンタがサーフィンに乗ってやってくる!というのにはビックリしました」と笑う。カトリック信者だったホストファミリーはプレゼントを30個近く用意。普段は早い時間に寝る人たちが、その日は夜遅くまで起きて、みんなで盛大にパーティーをしたことが、とても印象に残っていると当時を振り返る。ニュージーランドはコロナ対策として、いち早くロックダウンを実施したことは知られているが、学校の昼休みに大統領のロックダウンになるとの会見があり、その翌日からオンライン授業がスタートした。その素早い対応に負けず劣らず、自分が思いついたらすぐ行動するタイプという後藤さん。「外出できないので、ホームステイ先で過ごす時間が増え、ホストファミリーに英語で日本語や折り紙を教えました。マオリ語は日本語と発音が似ているからか、私が『もしもし』と言うと、それを聞いたホストシスターがすぐに『もしもし』ときれいに発音することができ驚きました。帰国する頃には、10歳のホストシスターは日本語が話せるようになり、少し書けるようにもなりました。」と話す。「自分の英語力で日本語や日本文化を伝えられたことがうれしかった。またこのことで、日本をより好きになり、自分の将来やりたいことへとつながっていきました。」とも。

BARADENE COLLEGE OF THE SACRED HEART

留学で言語の壁を実感将来は在日外国人に日本語を教えたい

後藤さんは、帰国後、神父様から在日外国人の貧困についての話を聞いたそう。「貧困というと、今まで世界に目を向けていたのですが、神父様の話で、日本の中にも貧困があることを知りました。この留学で、言語の壁は大きいと実感しました。それは在日外国人も同じだと思い、現在、外国人の学生のためのボランティアを継続しています。日本にいる外国人の教育支援をしたいと思うようになりました。」と、将来の夢を力強く話してくれた。

現地の高校生と一緒にNCEA(全国教育功績証明書)のレベル1(Year11 で取るべき単位)に挑戦し、全科目で取得。ESOL、数学、生物で表彰

後藤あずささん(高3)ソフトボール部に所属。毎日、最終バスで帰るほど、学校の友達と一緒の時間を楽しんでいる。写真は本当の弟妹のようなホストシスターたちと

コロナ禍にあっても行動できる!
不二聖心で培うひたむきなスピリット

土屋さん、後藤さん共に、自宅からの通学生だが、不二聖心には寄宿舎セント・マドレーヌもあり、遠隔地から入学している生徒さんも多い。また帰国生も多く、様々な地域で、いろいろな経験をしている人たちと触れ合うことで、刺激の多い学院生活を送ることができるのも同校の魅力といえる。今年もフランス、イタリア、カナダへ長期留学中の生徒、これからアメリカ、カナダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドへの長期留学へ向けて準備中の生徒、文部科学省主催の「トビタテ!留学JAPAN」に選ばれた生徒など、新たな経験の一歩を踏み出している。またコロナ禍で生まれた偏見や差別をなくす「シトラスリボンプロジェクト」のワークショップや、核兵器廃絶に向けた高校生平和大使の静岡県代表になるなど、コロナでできないことが多いなか、ひたむきに活動する生徒たちもいる。「世界の一員としての連帯感と使命感を持って、よりよい社会を築くことに貢献する女性の育成をめざす」、同校の教育理念は、生徒たちの心にしっかりと根付いている。

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