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2021.10.30

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多様な価値観の中で輝き、翔ばたく力を
生徒の力を引き上げる、新たな挑戦

共立女子中学高等学校は明治19年に、実業家や教育者など立場の異なる34名の有志によって創立された。その成り立ちを映し出すかのように、同校では、多様な価値観を受け入れ、柔軟に協調しながら自らの個性を発揮できる女性を育てることを大事にしている。その姿勢は、恒例の夏季講座にも貫かれているが、今年はさらに新たな挑戦として、多様なテーマの講座が開かれることとなった。

生徒の人生をもっと豊かに
ユニークな講座開設に挑戦

共立女子中学高等学校が毎年恒例で実施している夏季講座は、生徒たちからも人気のカリキュラムだ。各科目の先生方がそれぞれの考えた内容を一覧表で提示し、生徒たちが自主的に講座を選択して参加するというもので、毎年1000名以上の生徒が受講しているという。そんな夏季講座で、今年から新たな挑戦が始まった。これまでの講座内容は、各学年の基礎学習強化や受験対策が中心だったが、今年はそこに「二十歳になる前に知っておきたいお金の話」や「漫画論」といった生徒の好奇心を刺激するようなタイトルの講座や、「大学生が学んでいる『新しいリーダーシップ』を体験してみよう!」「溶解度実験SEPUP」「歴史と地理の交差点」などのワークショップを取り入れた講座が新たに加えられている。

夏季講義前でもオープンスペースで予習する姿が見られる

物語の主人公となって
様々な視点から学ぶ

理科室では、今城有貴先生と桑子研先生による「溶解度実験SEPUP」のワークショップが開かれた。「SEPUP(シープアップ)」は、アメリカで開発された理科の教育プログラムのこと。講座では、生徒一人ひとりが架空の島にあるケミカル企業の研究員という設定で、水溶液や物質の溶解・再結晶について学習する。「私たちの世界では1つの事象が単体で起こるわけではありません。この実験のように、ストーリーの中で学ぶと、いろいろな角度から物事を見ることができます。また、ワークシートには1つの正解は書きません。実験を通して自分で考察する力を養うことは、将来社会に出た時に役立つと思います」と桑子先生。実際に、ワークショップを経験した生徒たちからは、「物語性があると、自分のやっている実験がどのような必要性のあるものなのかがわかり、良いと思いました」「やる人に調べさせて、その人の言葉で考えさせて、とても良いと思います」などの感想が寄せられ、先生の思いは生徒たちにもしっかりと伝わっているようだ。

硝酸アンモニウムが析出したときの温度を放射温度計で測定する説明の様子

温度測定中の様子

多様性の時代に求められる
リーダーシップを養う

国語の金井圭太郎先生の「大学生が学んでいる『新しいリーダーシップ』を体験してみよう!」では、共立女子大学ビジネス学部に在籍する3名(共に同校卒業生)が参加。ラーニング・アシスタント(授業運営補佐)として、ワークショップのファシリテーターを務めた。生徒たちは先輩の進行のもと、段階的に新しいリーダーシップとは何かを学んでいた。「リーダーシップというと、先頭に立って皆を引っ張っていくイメージがありますが、これからの時代のリーダーシップは、自らの特性を生かし、周りに何かしら良い影響を与えて関わることが大事になります。3日間、合計6時間のワークショップが、自分の活かせるところを発見する機会になればいいと思っています」と金井先生。今回の講座について「ワークショップ自体は大学生と相談して中高生用にアレンジをしましたが、内容的には大学生に教えているレベルと変わりません。それでも生徒たちはその主旨を理解し、柔軟なアイデアを出してきて感心しました。大学生と中高生が一緒にワークしたら面白い相乗効果が生まれるかもしれませんね」と、生徒たちが取り組む姿を見ながら、話してくれた。

論理思考のグループワーク中。目的とメカニズムをおさえて考える大切さを学ぶ

日常にある新たな気づき
好奇心を刺激する授業

共立女子中学高等学校の教育では、将来どのような場所・場面においても“輝き、翔ばたく女性”となるためには、「関わる力(人間関係力)」「動く力(行動計画力)」「考える力(情報活用力)」「解く力(問題解決力)」の4つの力が必要だとしている。今年の講座ラインアップを見ると、自ら調べ、考察し、仲間と相談しながら答えを導き出す作業も多く盛り込まれ、生徒たちの力をさらに伸ばしていこうとしていることがわかる。「夏季講座には、いろいろな要素があってもいいと思っています。実はこうした取り組みに生徒が手をあげてくれなかったらどうしようかという心配もあったのですが、たくさんの生徒が参加してくれたのは、とてもうれしいことです」と金井先生。そして、さらに「好奇心、やってみようという姿勢は、生きていく上での支えにもなります。今後も生徒たちの好奇心を刺激するような企画を考えていきたいですね。1人1人の将来に役立つような内容をもっと広げたいと思っています」と話す。来年の夏季講座には、どんな講座が登場するのか、早くも楽しみである。

マンホールの謎から東京と横浜の歴史を知るフィールドワーク

漫画を普段とは異なる視点から考察することで、生徒たちは新たな学びと発見を得たようだ

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