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2022.07.15

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独自の国際教育と、ユニークなアプローチが
高次元の思考力を育て、生徒の潜在能力を伸ばしていく

1910(明治43)年、「巣園学舎」として始まった巣鴨中学校・高等学校は、グローバルに活躍する人材の力を借りての特徴的な国際教育プログラムで知られている。加えて注目されているのが、「学生のあり方」だ。人間力を問われる職業の最高峰と言える医師たちが、「医者に必須の人間力を養うなら巣鴨」と評価している点でも、同校が輩出する人材の優秀さがうかがえる。

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思考力を育むアプローチで
コミュニケーションの土台を築く

授業が終わった後、生徒たちが自主的にテーマを設定し、それについて個人、またはグループで探究を始める。巣鴨中学校では珍しくない光景だ。生徒が自ら学び始める理由がどこにあるのかを探るため、理科の授業を覗いてみると、「えっ、そうなんだ!どうしてだろう?」と考えたくなる仕掛けに満ちていることに気づいた。例えば、地球温暖化の話。「温暖化で溶けた氷の上で、悲しそうにしているシロクマの絵をよく見るけれど、氷もシロクマも本当は増えている」というように、教師は世間一般のイメージと真実との食い違いを生徒に提示する。すると子どもたちは、情報を鵜吞みにせず自ら調べる大切さを実感し、さらにはこうした誤解がどうして生まれるのかといった原点にも興味の範囲を広げていくのだ。あえて生徒を混乱させる問いを発する教師。それに対して意見を出すほど、ますますそのテーマについて調べたくなる生徒たち。こうした探究の連鎖を自然に巻き起こしてしまえる指導力に支えられ、子どもたちは語学や知識を使いこなす土台、思考力を鍛えている。

生徒が自ら学びだす
仕掛けに満ちた巣鴨の教育プログラム

生徒の知的好奇心をくすぐることに長けた巣鴨の教師たち。彼らが提供する教育もまた、特徴的だ。近年、より注力しているのが探究学習。各教科の授業の中で考えるきっかけを手渡し、興味を持った分野についてグループワークや論文といった形でそれぞれ深めてもらうという。書くことに不慣れでも心配はいらない。作業に抵抗感なく取り組めるような仕掛けも用意されているからだ。国語の時間に課しているショートストーリー執筆もその一環で、これにより生徒は思い描いたものを言葉に落としこめるようになる。試験休みや長期休暇を活かしたプログラムにも巣鴨の教育方針が表れている。2021年12月には、効率的な学習方法の習得を目的とした「Sugamo Learners’ Gym(SLG)」を開催。「睡眠」と「習慣」を2大テーマとして、「質の高い睡眠をとる方法」と「新しい習慣を身につけていくプロセス」といった内容を講義した。記事後半で登場してもらう2年生の宇田川礼人くん、3年生の永里尚大くんの2人にもSLGは好評だ。「脳科学の観点から、勉強効率を上げる習慣や姿勢を学べました。SLGで聞いた内容は実践もしやすい。勉強の合間に運動を入れるとよいそうなので、僕はジョギングをしたり、ストレッチをしたりしています」と、宇田川くん。永里くんも、SLGで得た成果に満足しているようだ。「25分勉強・5分休憩のサイクルを実践しています。僕の場合は休憩に当てる5分でリフティングをしています」と、教えてくれた。国際教育の巣鴨ならではの画期的なプログラム「巣鴨サマースクール(SSS)」も紹介しておきたい。知識や教養をもとに思考し、そこから生まれた意見を交わしあってこそ「英語のコミュニケーション」と言えるのではないか。その点で近年の国際教育は「平易な意思疎通に重きを置きすぎてはいないか」、という一つの問題提起から生まれたプログラムで、夏季休暇の6日間、国内で合宿をしながらイギリス人講師に学ぶ内容だ。カリキュラムにも巣鴨らしさが光る。ある年のSSSでは、日本史を担当する教師とイギリス人講師に「女性天皇」に関する意見を述べ合ってもらった。議論は「女性天皇と女系天皇との違い」や「英国王朝と日本の王朝における女性の生き方比較」などに及んで白熱。生徒の探究心をおおいに刺激した。

宇田川礼人君(写真左)と永里尚大君(写真右)

SLGの授業模様

日々進歩する学び舎・巣鴨で
夢を叶える力をつけていく

宇田川くんと永里くんに、再度登場してもらおう。コロナ禍で中止されていた部活の合宿、体育祭、SSSも再開され、より学校生活への期待がふくらんでいる様子がうかがえる。宇田川くん、永里くんともにSSSへ参加すると聞き、合宿を通して何を得たいかと質問した。宇田川くんは、「オックスフォード大学やケンブリッジ大学を卒業したイギリス人講師の方々と英語でコミュニケーションを取れることが楽しみ。コミュニケーションは、英語や学校生活のみならず、社会に出てからも重要です。そういう意味でも、コミュニケーション能力をSSSで磨きたい」と言う。永里くんも、「英語はまだ少ししか話せないけれど、SSSを通して上達したい。イギリス人講師の方からは、イギリスの文化はもちろん、イギリス英語とアメリカ英語の違いなど、クロスカルチャーに関する部分も学びたい」と、力強く語る。そして2人ともがSSSの先で、巣鴨が英国屈指の名門・イートン校と連携して行う「イートン校サマースクール」へも参加したいという意欲を見せてくれた。続けて将来の夢はと聞くと、これにもしっかりとした答えが返ってくる。宇田川くんが目指すのは国家公務員だ。巣鴨で英語をはじめ総合的な能力を身につけ、日本をよりよい国にしていきたいとの志を語ってくれた。永里くんの夢もまた、社会貢献の気持ちがつまっていた。世の中に存在する治せない病気を治療する薬を開発するため、薬学の道を考えているそうだ。「先生が将来の夢を聞いてくれて、アドバイスもしてくれる。応援したい気持ちが伝わってきて嬉しい」と宇田川くんが話すと、永里くんも同意の意味をこめて頷いた。世間では厳しい校風と見られているが、同校の素顔は面倒見のよさにあふれているようだ。

イートン校集合写真

SSSの授業の様子

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