2021.12.30
自己の可能性を最大限に伸ばすために
1人1人の自主性を尊重し応援する6年間
1947年にカトリックの修道会の1つである「イエズス会」によって設立された栄光学園。その教育理念の一説に「生徒一人ひとりが神から与えられた能力を十全にのばし助けることを基本理念とする」とある。自己の可能性を最大限に伸ばし、その能力を他者のため、他者とともに未来を生きていくために発揮していけるよう、1人1人の生徒の成長を見守り、丁寧に支えていく。
中2生徒の仲間で、
同好会を発足しよう!
この秋、栄光学園に新たな同好会が誕生した。その名は「ボードゲーム製作同好会」という。ボードゲームは、盤と駒を使って遊ぶゲームの総称。一部にはカードを用いたハード対戦型のボードゲームもある。同好会立ち上げのきっかけとなったのは、中学2年生のクラス替えで南出多央さん、藤井悠貴さんが同じクラスになったことだ。先に声をかけたのは南出さん。「藤井くんと初めて会った時、彼が中1の時に作ったボードゲームを持っていました。僕もボードゲームを作ったり遊んだりするのが好きだったので、友達になって一緒にボードゲームができたらいいと思ったのが始まりです」と、その時を振り返る。その後、二人でボードゲームを作って遊んでいると、次第にゲームを観戦するギャラリーが集まるようになり、ゲームに参戦するメンバーが増えていったそうだ。「みんなでできるなら同好会を立ち上げたら面白いと思って、相談して同好会を作ることにしたんです」と、南出さん。実は、同校には囲碁将棋部やオセロ・チェス同好会といったボードゲームを楽しむ部会がすでにある。しかし、ボードゲーム製作同好会の活動はそれらとは違うと藤井さんは言う。「既存の部会はすでにあるボードゲームを極めていくものですが、僕たちは自分たちの手でゲームを作りたいんです。休み時間に工作をしているだけでは時間が足りなくて、それも考えた動機になりました」。
同校では週3 日を超えないというルールを守れば部活の兼部も認められている。実は、南出さんは囲碁将棋部、藤井さんは物理研究部にも所属だそうだ
新ゲーム制作中
顧問探しも、企画書作成も
自分たちの手で
もちろん同好会を立ち上げるといっても準備が必要だ。顧問になってくれる先生がいなければ何も始まらない。「まず、オセロ・チェス同好会の顧問を務めておられる出口先生に相談しました。ボードゲームのことをよくご存じなので、お願いしてみたところ、先生に快く引き受けていただけました」と、南出さん。また、学校側と相談するために必要な企画書の作成は藤井さんが担当。「みんなで出し合った意見をまとめたり資料を作成したりする作業は嫌いではないので、楽しかったです。ただ、中間テスト前というタイミングだったのが大変でした」と、立ち上げの苦労を話してくれた。同好会のメンバーは、南出さん、藤井さんを含めて現在8名。全員同級生なので、時間があれば集まってゲームを作ったり、実際に対戦したりする。「ボードゲーム製作は、まず手近な材料で簡単な試作品を作ってテストします。そこでうまくゲームのギミック(仕掛け)が機能すれば、市販品のようにきちんとしたものを作ります。メンバーがたくさんいるとテストプレーも簡単にできます」と、藤井さん。こうして作るボードゲームの種類はいろいろある。「新しいギミックを1から作っていくものもありますが、既存のゲームのギミックを組み合わせたりするのも面白いです。そこに個人の発想を入れて新しいゲームを作り上げていきます」と、南出さん。ゲームのことを語る二人はとても楽しそうだ。同好会の活動はまだ始まったばかり。目下の目標は同校の文化祭「栄光祭」に来校した人たちに、自分たちが作ったボードゲームを楽しんでもらうこと。活動が安定して行えるようになったら、少しずつメンバーを増やして長く残る同好会を目指していく。
試作品。まずは工作用紙などを使って、簡単に製作
ボードゲームのテストプレイ。ギミックを丁寧に確認します
生徒のしたいことを
さりげなく後押しする
生徒が自分たちでやりたいことを見つけ、実現するために行動する。それをサポートする環境作りに何が大切かを広報担当の古賀慎二先生に聞いた。「こちらから強いることはせず、生徒の自主性を大切にすることです。大人の凝り固まった頭で『こうしたらいい』と提案するのは野暮というものですから(笑)。学校としてふさわしくないものであれば意見はしますが、基本は天井を作らず、押さえ込まず、やりたいようにやってほしいと思っています」と古賀先生。生徒1人1人の成長をさりげなく応援する。生徒と教師たちの人間的な関わりを大切にする同校の姿勢は、こうした課外授業の取り組みにも現れている。2021年はコロナ禍で、同校でもリモート授業と登校授業が交互に行われる時期もあった。ようやく登校授業で落ち着いている現状を南出さん、藤井さんともに「友達に会えてすごくうれしい」と笑顔で話す。仲間とともに学び、ともに遊ぶ。同好会のボードゲーム作りだけでなく、二人は今日も伸び伸びと学校生活を楽しんでいる。
「校舎が新しくて大きく。校庭が広いのもうれしいです。自由な校風のもとで楽しく過ごしています」と藤井さん
部活動の様子(ブラスバンド部)
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