2021.11.30
「他国から世界を見つめ直してみる」
桐蔭学園独自のカリキュラムで
広い視野をもつ生徒を育成
桐蔭学園中等教育学校は、横浜市に位置し、閑静な住宅街に広大な土地をもつ学校だ。6年一貫教育を行っており、今回は6年間の折返し地点である3年生が取り組む模擬国連部の活動をベースとした探究学習「15歳のグローバルチャレンジ」に注目!高校受験のない3年生だからこそこの時期に世界を見つめ直してみるとどんな発見があるのか、取り組む桐蔭生2名にインタビュー。
「15歳のグローバルチャレンジ」
今年の取り組みに迫る!
桐蔭学園中等教育学校独自のカリキュラムである「15歳のグローバルチャレンジ」。これは、模擬国連部の活動をベースとした探究学習である。今回は、この「15歳のグローバルチャレンジ」の目的や学習内容、今年度の取り組みなどを橋本先生、山本先生、そして現在3年生でこの学習に取り組む土井さん、中村くんにお話を伺った。そもそも、「15歳のグローバルチャレンジ」は3年生が行うものだそう。1、2年生で基礎的な探究スキルを学んだうえで取り組むもので、週1時間の授業が展開されている。「1、2年生で基礎的なことを学び、4、5年生では個人それぞれでの探究になっていく。個人の探究にはいる前にぜひ広い視野で世界を見てほしい、これが最大の目的」と橋本先生は話す。そんな「15歳のグローバルチャレンジ」の取り組み内容は主に学期ごとに分かれており、最後のゴールである3学期の「模擬国連会議」に向けて生徒それぞれが探究学習を進めていく。今年度1学期は、約270人の生徒を3~4人のグループに分け1グループ1か国を担当し、その国の地理的な特徴、文化や歴史などを調べて理解を深めることで、少しずつ担当国の長所を掴んでいく。そのうえでさらに調査し、担当国の課題点を発見。その後は各グループで学年末の模擬国連総会への議題提案を考え、発表し、全員で投票することで議題が決定したという。「今回の議題は、『水問題』と『地球温暖化』に決定。これらは実際の国連総会や全日本高校模擬国連大会などでも取り上げられていた議題だったため、想像以上に生徒が担当国の探究を通して現実的に現在の問題点を理解できていると感じた」と橋本先生。今後、2学期では年度末の模擬国連総会の準備として「国連弁当会議」を行うという。「もし、国連の大使全員が同じメニューを食べるとしたら、主食、主菜、副菜、デザートはどうする?」というテーマで議論を進めていく。中村くんは、「宗教や文化によって食生活は各国それぞれ違う。様々な国を考慮すると難しそうだが面白そう」と話してくれた。
自国の問題点を発表するチャド大使たち
一流の芸術を鑑賞できる学園のシンボル「シンフォニーホール」
高校受験のない3 年生だからこそ
「外」を見てみよう
現在「15歳のグローバルチャレンジ」に取り組んでいる3年生の土井さん、中村くんにそれぞれの担当国について伺った。土井さんの担当国はポーランドだそう。「今はほぼ単一民族国家だけど、歴史を振り返ると他国からの侵略があった国なので、食文化はドイツ系やロシア系など多種多様であることに驚いた」と話す。夏休みの宿題では、担当国の料理を作って食べるという宿題がでたそうで、「ジャガイモのパンケーキを作ったが、正直日本人の口には合わないなと感じてしまった。本当はメープルシロップなどをかけて食べるのがポーランド流だが、とんかつソースをかけて頑張って食べきった」と笑いながら話してくれた。また、ポーランドの言語についても詳しく調査したようで、「歴史的に様々な国に侵略されているので各年代によって得意な言語があったりする。例えば、40代あたりの人はロシア語が話せるのに対して、若い人達は英語を得意とする人が多い。その時代にあった言語が定着していて、現代にも対応してきているなと思った」と探究学習に積極的に取り組んでいる土井さんの姿が見えた。中村くんの担当国は、石油の産出世界2位のサウジアラビア。サウジアラビアの問題点である石油に依存した経済について、「今までは観光客を受け入れない国だったが、近年はオンラインで世界遺産の見学をできるようにするなど観光客を受け入れつつあるので、うまく活用していけたらいいと思う」と自身の見解を交えながら語ってくれた。また、サウジアラビアを調べるにつれて「中東問題」に興味をもったといい、最近は国際情勢に関するニュースをよく見るようになったそうだ。このような生徒の取り組みに対して、「担当国はランダムに決めている。偶然に任せて担当になった国の立場から新しく世界を見直していってもらいたい」と橋本先生。「6年一貫教育のちょうど真ん中の3年生だからこそ、そして高校受験のない3年生だからこそ、あえて『外』に目を向けて自分の価値観を壊していってほしい」と山本先生も話してくださった。
コートジボワールのポスターが完成!
明るい雰囲気の音楽室で生徒たちものびのびと授業を受ける
桐蔭生の「ここが桐蔭のいいところ!」
「15歳のグローバルチャレンジ」の取り組みを含め桐蔭学園のおすすめポイントを、桐蔭学園で3年目を過ごす土井さん、中村くんに伺った。都内から1時間半かけて通う土井さんは、「運動が好きで運動が伸び伸びできるところを探していた。桐蔭学園の学校の広さはとても魅力的だった」と話す。また、以前は先生と話すことに苦手意識をもっていたというが、「気さくに話しかけてくださる先生が多く、今では苦手意識なく先生と話せるようになった」と話してくれた。中村くんも、先生方が優しいところは桐蔭学園の魅力だと話しており、生徒と同じ目線にたって接してくれる先生方の存在は生徒にとって大きいようだ。そんな心強いサポートをしてくださる先生方と行う「15歳のグローバルチャレンジ」、年度末の模擬国連総会ではハイレベルな議論がされるに違いない。桐蔭生のこれからの成長に期待だ。
桐蔭学園のアクティブラーニング型授業では「協働」が欠かせない
陽光あふれる食堂は生徒の憩いの場
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