2021.11.30
グローバルに“Think & Challenge!”
できる人を育てる横浜翠陵中学・高等学校
1986年に「考えることのできる女性(ひと)」を掲げて開校した横浜国際女学院翠陵高等学校は、開校当時から国際理解教育と英語教育に注力してきた。その伝統は、2011年に共学化し、横浜翠陵中学・高等学校と校名を変えた現在も、脈々と受け継がれている。コロナ禍にも屈せず、生徒にグローバルな学びの機会を提供し続けている。
6年間を通した国際教育・人間教育で、
「語学力+α」の力を養う
開校当時から国際理解教育や英語教育に重きを置き、長く世界と交流を続けてきた同校。現在では、アメリカ、メキシコ、中国、オーストラリアにある姉妹校・友好校・交流校との交換留学制度や、イギリス、カナダへの海外教育研修制度など、グローバルに学ぶ環境が整っている。国際部の我妻明子先生は、こう話す。「入学時点で英語ができる生徒を求めているわけではありません。ですから英語の授業は、中学校から始める、という前提でスタートします。そして、6年間を通した国際教育かつ人間教育により、語学力のみならず、異文化を理解する力、自分の意見や思いを伝える力を養っていきます」英語の指導においては、特に音声学習に力を入れ、英語4技能がバランスよく身につくよう授業を展開。ネイティブの教員とのTT(ティーム・ティーチング)の授業も多く、生徒は日常的に生きた英語に触れる機会をもつ。さらに、「ネイティブの教員による英会話中心の授業でも日本人の教員による授業でも同じ内容や題材を扱い、分断なく統合的に学べるようにしている」と我妻先生。入学当初は恥ずかしそうにしていた生徒も、「自分の英語が(ネイティブの先生に)通じたという喜びは大きいようで、英語を使ってみることへの抵抗がなくなり、どんどん前のめりになっていく」と言う。中学1・2年次には、軽井沢にて「サマーイングリッシュキャンプ」を実施。生徒6~7人にネイティブ教員が1人つくという恵まれた環境で、英語漬けの3日間を送る。今年度はコロナ禍の影響で校内かつ日帰りで実施したが、「普段の授業ではできないような少人数のグループワークもでき、内容は充実したものになった」と言う。
生徒の気づき、変容のきっかけになる海外研修
さらに、中学3年次には、全員参加の「ニュージーランド海外教育研修」を実施。2週間のホームステイ体験を通して、異文化や生きた英語を体感するプログラムとなっている。残念ながら昨年度・今年度は中止になったが、なんとか機会を創出しようと、先生方が奮闘。オンライン海外留学というかたちで、姉妹校とのオンライン交流会など複数のプログラムを実施してきた。なかでも人気だったのが、フィリピン・セブ島とつないだプログラムだ。「海外に行った気分を味わってもらうため、入国審査でパスポートを見せるところから擬似体験してもらいました。入国後、現地の映像を見ながら観光し、その後は2~3人のグループごとに現地の先生による英語のレッスンを受講。買い物をするときに使う英語表現などを練習したり、フィリピンの文化を学んだりしました。実際に海外に行けないなか苦肉の策でしたが、生徒たちはとても喜んでくれました」高校生になると、海外研修に挑戦する機会はさらに増える。イギリスグローバル研修(国際コース)、カナダ英語研修(特進・文理コース/ともに2週間)、ニュージーランド中期留学(国際コース/2か月半)のほか、姉妹校であるアメリカのセント・ポール女学院やメキシコの日本メキシコ学院、海外友好校である中国の上海市第三女子中学などへの交換留学制度もあり、毎年、多くの生徒がチャレンジしてきた。入試広報部の庄大介先生は、こう話す。「中学で海外研修に参加したもののうまく馴染めず、その悔しさをバネに高校で再びチャレンジした生徒、海外経験を経て英語学習にスイッチが入った生徒、ホストファミリーと過ごしたことで親への感謝の気持ちが芽生えたという生徒など、みんなそれぞれに変容が見られます。海外研修で大事なのは、語学力を磨くことよりも、グローバルな視点を通して世界や日本、自分の身の回りのことを改めて知ること。気づきのきっかけだと私たちは捉えています」
中学3年間の総合学習でグローバルな視点を養う
さらに、グローバル教育の一環として行っているのが、「翠陵グローバルプロジェクト(SGP)」だ。中学3年間を通した総合学習で、グローバルな現代社会の課題を設定し、さまざまな角度から調査・研究する。中学3年次には、生徒一人に教員一人がメンターとしてついて伴走。集大成として論文「My Goal」を書き上げ、学年末には学内外の多くの人の前で発表する。「まさに、本校のモットー、“Think & Challenge!”です。自分で考えて、挑戦する。大事なのは、上手い・下手や成功・失敗ではなく、最後までやり切ることです。努力してやり切った後の達成感を中学生の段階で味わっていると、その後の学びへの姿勢も変わってくると感じています」(庄先生)思うように海外に行けない状況が続くが、先生たちは「次のステップ、次の時代へのチャンス」と断言する。実際、姉妹校・提携校の教員とのオンラインミーティングのハードルが下がり、以前よりも密に連携ができているなど、今後に向けてプラスの側面もあるという。「コロナ禍で思うように活動ができない生徒たちを“かわいそう”と思うのではなく、どんな状況であっても私たちができる最大限のことをする。そういう思いで、日々、生徒たちと向き合っている」と庄先生。「今後はSGPと英語を絡めて、プログラムをさらに進化させていきたい」と我妻先生。コロナ禍に屈することなく、生徒の学びを止めないために奮闘し、次の展開に向けて動きはじめている横浜翠陵中学・高等学校。コロナ禍が収束した先の飛躍に期待が集まる。
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