2021.11.30
学校生活のあらゆる場面に学びはある
文武両道の教育で社会に貢献する人材を育てる
1872年に港区高輪に日蓮宗宗教院として設立されたのが、立正中学校・高等学校始まり。以来、日蓮宗の開祖である・日蓮聖人の教えに基づく「行学二道」を建学の精神に掲げ、文武両道の教育に力を注ぐ共学校として、社会に活躍できる人材教育に力を注いでいる。今回、「登山」でのインターハイ出場を目指す山岳部の高校生2人に、学校生活のこと、クラブ活動のことなどについて話を聞いた。
「登山」もスポーツ
山岳部がインターハイ出場
2021年6月、同校山岳部の高校3年生チームが、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の予選となる東京都大会で優勝。8月に福井県で行われたインターハイ本戦への出場を果たした。インターハイというと、陸上競技やサッカー、バレーボールといった種目を連想しがちだが、競技種目の中には「登山」もある。その内容は単にタイムを競うようなものではなく、気象や地形についての知識、救急に関する知識、幕営(テントを張る)技術、読図(ルート上の印を地図に記入)、登山中のマナーなど、様々な審査項目によって構成されている。出場する生徒たちは4人で1つのチームを組み、それぞれの力を発揮しながら優勝を目指してコースを進んでいく。高校1年生の上村幸詩さん、高校2年生の新田育郎さんの2人も、3年生の先輩と高校2年生の4人でチームを組んで7月の東京都大会に出場した。優勝した先輩チームの成績には及ばなかったものの20チーム中5位という素晴らしい成績を残すことができた。そして、現在は3年生の先輩たちはすでにクラブ活動を引退し、2年生の新田さんがクラブ内の最上級生として後輩たちを率いていく立場になっている。部活では、すでに来年に向けた練習が始まっている。「体力面だけでなく、調理や救急の技術や気象知識、チームワークのさらなる強化にも取り組んでいきたい」と上村さん。新田さんも「先輩から教えてもらったことを、後輩たちにも受け継いでいきたい」と、話してくれた。山岳部の顧問を務めている松本陽介先生は、「来年も目指すのはインターハイの本戦出場です。将来は強豪校として知られるようになりたいですね。目標を高く設定することで、生徒たちにもより大きく成長していってほしい」と、思いを語った。
インターハイ(2021年福井県取立山)
地道に訓練するからこそ
競技で力を発揮できる
同校の山岳部の歴史は古い。松本先生によると、昭和50年代は中国の山に出かけたこともあったそうだ。一時期部員不在の時期もあったが、9年前に先生が顧問となり活動が復活したという。基本の活動は週に3日。体力作りのためにランニングをしたり、荷物を担いで階段を昇降したり。安全に登山をするための筋力・体力トレーニングを行う。また一方では、気象や地図を読み解く基礎知識の学習にも力を入れる。どちらも地道な活動だが、これを積み重ねた成果が実際の山登りにも現れるのだ。高校生の2人も、こうした活動を通じて山登りの楽しさを満喫できるようになった。「登っていている間はしんどいのですが、達成感が感じられるし、すがすがしいです」と、上村さん。新田さんは、「僕はチームの中では天気図の作成を担当します。とても勉強になるし、おもしろいです」と話す。そして、2人揃って「とにかく、山で食べるカップラーメンや焼肉丼はすごくおいしいです」と、笑った。しばらくはコロナ禍で思うように訓練ができずにいたが、ようやく郊外での練習も可能になり、山岳部の部員たちも楽しみにしているそうだ。
剱沢より剱岳(2019 年夏合宿)
仲間と一緒に社会のために
力を発揮する人材を育てる
同校には「行学二道」という建学の精神がある。「行学の二道」とは、修行と修学の二つの道のこと。学校での学びを、実際に行動で示す生徒を育てるという目標は、同校が創立以来ずっと受け継いできたものだ。そして、それは21世紀のグローバルな時代においても、自ら考え、行動し、自分の持てる力を発揮して社会に貢献する人材を育てていく土台としてもしっかり息づいている。立正中学校・高等学校での学びの6年間、生徒たちは授業やクラブ活動などの学校生活を通して、様々なことを学んでいく。知識や教養、技術をはじめ、チームワーク、リーダーシップなど、たくさんの力を生活の中で身につけながら成長する。だからこそ同校は文武両道教育を大切にしているのだ。山岳部の2人に好きな授業を聞いてみると、上村さんは「奈良時代の文化に興味があります」と言い、新田さんは「江戸時代がおもしろいです」と、偶然にも2人とも日本史という返事。来年実施予定の国内の修学旅行で日本の文化や歴史に触れることが今から楽しみだと話してくれた。松本先生も「2人とも部活だけでなく、普段の勉強も頑張っています。学校生活でいろいろなことを学んで、その力を社会で存分に発揮してほしい」と目を細めた。
記事一覧へ