rogo

2022.07.15

school-logo

自ら考え、自ら行動することを重んじ、
生徒の選択を誰よりも応援する駒東の独自教育

1957(昭和32)年に創立した駒場東邦中学校・高等学校。創立以来、重きを置いているのは、印象的な赤レンガの校舎が「感受性を磨く場」となり、「思考力を鍛える場」であり、生徒同士が「切磋琢磨する場」であることだ。このような場で6年間を過ごした生徒たちが明るい夢を抱き、かけがえのない一人として世界に飛び出していくことこそが駒東の願いであり、独自教育を提供する理由でもある。

back-ground-img

設立以来、4年連続で世界大会へ
躍進するチーム「Red Bisons」

【VEX Robotics World Championship】という名前を聞いたことがあるだろうか。子どもたちにSTEM(科学・技術・工学・数学)への興味を持ってもらうことを目的とした教材メーカー「VEXロボティクス」によって年に一度開催される世界最大級のロボット競技大会の名称だ。大会最終日に翌年執り行われる世界大会のテーマが発表され、出場を目指す子どもたちはそのテーマを満たすロボットづくりに1年という時間をかけて取り組む。そんなVEXロボティクスの世界で戦うのが、駒場東邦高等学校1年生の猪本陽視くんと二宮朋諒くんである。2人に2022年世界大会の様子をうかがった。開催地はアメリカ・テキサス州のダラス。大会は午前8時頃から始まるため、余裕を持って現地入りをした。「VEXロボティクスはチーム戦です。大会には僕と猪本くん、他校の同級生2人でつくった『Red Bisons』という4人チームで参加しています。『Red Bisons』自体は『もっと日本にロボットを広めよう』という目的で2018年に設立したチームで、猪本くんには2021年7月から加わってもらいました」と、二宮くん。誘われてどうだったかと尋ねると、猪本くんは「LEGOをしていたこと、プログラミングの知識が少しあったこと、何よりロボット競技に前々から興味があったので、加入を決めました」と、当時の気持ちを語ってくれた。

back-ground-img

世界大会・オープニングセレモニーでの入場の様子後の一コマ

back-ground-img

世界大会・チームワークチャレンジの決勝戦の会場

ライバルと切磋琢磨する成長の場で
1年をかけて磨き上げた力を試す

国内大会の成績上位3チームしか出場枠が与えられない世界大会。世界中から腕自慢が集まるこの大会を勝ち抜くには、ロボットの性能はもちろん、チームワークや情報判断能力など、あらゆる力が試される。出場チームは与えられたスペースを拠点に競技フィールドと練習フィールドを往復するのだが、スケジューリングを誤ると、必要なポイントを獲得するための試験に参加できない事態も起こりえる。猪本くんは大会を振り返り、「偵察係のチームメイトが空いている場所を探し、適切な場所を見つけるたびに連絡を入れてくれました。時間はかなりシビアでしたね」と語った。綿密な時間調整で臨む試合の勝敗はどのようにして決まるのだろうか。「出場チームでランダムにチームを組み、2対2で得点を争います」と、猪本くん。二宮くんも「猪本くんが話したのがチームワークチャレンジのルール。ほかにはスキルスチャレンジという競技があって、ロボットを操作するドライビング技術とプログラミング技術の合計点で審査されます。どちらの競技も得点が高ければアワード獲得のチャンスがあります。あとはエンジニアリングノートも含めたプロセスや総合的な取り組みを評価される最優秀賞にあたるエクセレンスアワードもあります」と続けた。エンジニアリングノートとは1年にわたるロボットづくりの過程を記録したものだ。「Red Bisons」のノートはロボットの試作段階から始まり、細かな仕様、見つけた課題をどう解決したかといった内容で埋め尽くされていた。

back-ground-img

チームワークチャレンジの試合終了直後の一コマ

back-ground-img

味方のチームとの作戦会議

自らを磨けば世界と渡り合える
貴重な経験から一つの確信を得た

競技カテゴリーを変えてから初となる世界大会で、スキルスランキングは507チーム中71位。二宮くんの言葉を借りれば、まずまずの成績だ。一方のチームワークチャレンジでは、予選10試合を勝ち抜き決勝トーナメントに進んだが、その初戦では、決勝戦さながらの試合を繰り広げたものの初戦敗退という結果となった。満足のいく成果ではなかっただろうが、大会を振り返る二宮くんは次の大会に向けて力強くコメントを残してくれた。「伸び悩んだ部分はありますが、頑張れば世界と渡り合える、そう認識できた大会でした。空気圧パーツが損傷して使えなかったので、これを組みこんだロボットづくりが一つの課題です。ノートもより分かりやすくまとめようと思います」。「ロボット開発の手順が効率的ではなかったので、目的に沿って手際よく進められるようにしようとも話しています。ノートに関しては、マシンとプログラミングを分けて記録する方法も考えられますね」と続ける猪本くんともども、今ある課題を明確にとらえ、改善案も浮かんでいるようだ。2023年世界大会の準備に加え、2022年は「Red Bisons」の活動をSNSなどで積極的に発信していく。猪本くんと二宮くんの活躍がもっと身近になれば、ロボットの魅力に目覚める子どもたちはさらに増えていくことだろう。

back-ground-img

大会会場で味方(一緒に戦ってくれた)チームと記念撮影する猪本くん(写真左から3番目)と二宮くん(写真左から2番目)

グローバルに活動する2人の
ふだんの学校生活に迫る

2人が学ぶ駒場東邦高等学校では、生徒自身に考えてもらう授業を行っている。例えば教師が生徒に質問を投げかけて始める対話型の授業だ。レポートなどは、一度生徒に取り組んでもらった上でアドバイスを行う。こうした教育方針はどうかと聞くと、猪本くん・二宮くんはそろって「将来のためにはなるけれど、取り組んでいる間はしんどい」と苦笑する。苦しいのは調べたものを4,000~6,000文字のレポートにまとめる段階。内容はもちろん、レポートの体裁を保っていないと判定が厳しくなるのも苦労する部分だと言う。それでは調べ学習がどのような場面で役立っているかと聞けば、やはりVEXロボティクスだ。「報告書を書く時に、以前のレポート作成で使った構成を使おうというふうに応用が利きます」と、猪本くんが教えてくれた。「考える」プロセスを重視する駒場東邦の教育方針。創立から引き継がれてきた独自の教育展開によって、生徒の中に自ら考え行動する自主独立の気概が育つ。その結果、猪本くんや二宮くんのように自ら打ち込むべき分野を開拓する生徒が生まれ、世界に活躍の場を求める生徒もまた生まれるのだろう。今後も個性豊かな人材を世に送り出す駒場東邦から目が離せない。

back-ground-img
back-ground-img

記事一覧へ

MENU