2021.08.30
興味をもって自ら学ぶための教育に注目
生徒の選択肢を広げる駒東流の教育!
1957年に創立した駒場東邦中学校・高等学校。東京の世田谷区に赤レンガが印象的な校舎をもつ。中高6年一貫教育が行われており、感受性を磨く場、思考力を鍛える場、そして互いに切磋琢磨する場として独自教育を展開。進学校でありながら、幅広い視野の獲得に対する教育をも行い、生徒が興味をもち自ら選択し学んでいくための学びも大きな特徴のひとつだ。
「知る」という第一歩を踏み出す
駒東の国際教育とは?
駒東では、常に世界的な視野で世界平和に貢献する人材を養成するため、30年以上続く交換留学制度がある。アメリカの名門私立高校スティーヴンソン校とは1名ずつ、台湾屈指の名門高校である国立台南第一高級中学(台南一中)とは2名ずつ交換留学を実施し、交流することで広い視野と国際感覚を養う。今回は、この国際教育に参加した3名の生徒に留学生活の様子をうかがった。 アメリカ・スティーヴンソン校に留学した小林君は、英語や外国に興味を持っていたことに加え、特にアメリカに興味があったという。「アメリカには日常に銃があるように日本とは違う。すこし危険な印象もあったけれど、そのようなことも含めてアメリカがどのような国なのか興味を持っていた」と話す。渡航費用は学校側で負担してくれるというのも、留学を決心したきっかけのひとつだという。留学先のスティーヴンソン校では、一足早く「大学生のような生活」だったという。「駒東とは違い、共学、寮生もいた。アメリカ国内だけでなく、世界中から生徒が集まる学校だった。もちろん、キャンパス内の会話は英語だけでなく様々な言語が飛び交っていて、新鮮さを感じることができた」と楽しそうに話してくれた。授業はもちろんすべて英語だったため、英語の授業についていくのは大変だったけれど、数学などは日本の教育水準の方が高く、わかるからこそ数学から英語の勉強ができた」と話す小林君。 台湾・台南一中に留学した山田君、関谷君も、留学を決めたきっかけは外国に対する興味だったという。授業はすべて中国語で行われ、特に数学や理科の授業は理解することができ楽しかったと話す。留学先の台湾の学生たちはかなり勉強熱心だったといい、いい刺激だったそうだ。「ホームステイ先の家が4階建てだったように、台湾は縦に大きい建物が多い印象がある。お風呂もなくシャワーだけのつくりなど、日本とは違う文化が発見できたと思う」と山田君が話してくれた。
スティーブンソン校近くの海岸風景
全校集会で自己紹介する小林君(スティーヴンソン校)
「知る」という経験をした彼らの考えることとは
留学を経て、「結局知らなければ、注目することも、興味を持つこともできない。今回、日本を出て異国の地を体験したからこそ、日本では拾えていなかった情報についてアンテナを張れるようになった。すべては『知る』ことが第一歩だと感じる」と話す小林君。小林君の帰国後、アメリカでは大統領選が行われ、留学先で出会った友達のSNSからその熱狂ぶりが感じられたことから、日本の選挙など政治についても考えるようになったという。 また、台湾に留学した関谷君は、学校の授業のひとつに銃を撃つという授業があることや、授業中に政治を熱く語る先生がいたことなど、日本の教育ではないようなことにとても驚いたという。こういった経験から、「台湾と中国の関係などにも以前より興味をもつようになった。帰国後も台湾について興味をもっている」と話してくれた。「噂や日本にいて見聞きすることと、現地に行ってわかる事実は、同じこともあれば違うこともある。そのようなことを実際に現地で知り感じることで、親近感や興味をもつようになったと思う」と話してくれた。
台南一中の廖校長先生と(左:関谷君)
ウォーターボーイズの大技、大ジャンプ
自由で切磋琢磨する学校生活
国際教育だけでなく駒東生としての生活も3人に伺った。「基本的に自由。自分の頑張りたいこと、やりたいことを自由に選択できる学校だと思う」と話す関谷君。部活動であれ、勉強であれ、外部活動であれ自由に望んで挑戦することができる背景には、国際教育にもあるように学校側のサポートが手厚いからだともいえる。 さらに、小林君が「中学1年生の公民の授業なのに、中学レベル以上の情報が紙ぎっしり書かれたプリントを配布してくれる先生がいてとても印象的だった」と話してくれたように、個性的な先生方もいらっしゃるようだ。そのような先生方などに背中を押されている生徒も多いだろう。 部活も盛んなようで、水泳部に所属する関谷君は、高校1,2年生の時に競泳の練習もしながら「ウォーターボーイズ」の練習もしていたという。「競泳の練習のあとにウォーターボーイズの練習をしていた。体力的にはつらかったと思うが、そんなこと関係なくのめりこむほど楽しかった」と話す。また、体育祭や文化祭に限らず学年企画など行事が多いことも駒東の魅力のひとつである。様々な行事のなかでも勉学、部活などを両立させているようで、「競争意識はあると思う。負けたくないなあとみんなで切磋琢磨していると思う」と語ってくれた。 そんな3人は、大学受験を控えており、将来像を伺ってみた。アメリカに留学した小林君は、「外交官や商社など他国の方と関わることができる職業を目指している」と話す。台湾に留学した関谷君は、「大学進学後も、中国や韓国など日本に比較的近いアジア圏へ留学がしたい。いまよりも知識などをつけて外国の大学に留学できれば、今回の留学以上の新たな発見がありそう」と話してくれた。関谷君と同じく台湾に留学した山田君は、「大学進学後は工学などを学んで研究職を目指したい。他国との交流の中で共同研究なども実現したい」と話す。3人の生徒それぞれ高い志をもっており、駒東生として互いに切磋琢磨し成長していく未来がしっかり見えた、そんなインタビューであった。
台南市市街地の様子
台湾のクラスでの集合写真
記事一覧へ