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2021.08.30

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獨協医科大学との高大連携がスタート
社会に出てリーダーとして活躍できる人を育成

1883年に開校、今年で創立138年を迎え、医学界・法曹界・教育界へ優れた人材を輩出している獨協中学校・高等学校。創立当時よりドツ文化と深いつながりがあり、英語に加えてドイツ語の授業も同校ならではの特徴となっている。今回は、今年からスタートした獨協医科大学との高大連携を中心に、獨協がめざす「獨協ディプロマシー」を上田善彦校長先生に伺った。

今年から、獨協医科大学出身の
新校長が満を持して就任

2021年4月、第23代校長として就任された上田善彦先生に、今後の具体的な取り組みや抱負について伺った。「本校の第13代校長であった天野貞祐先生がめざしてきた、『生徒の中に上品な人格を形成する』という教育理念を引き継いでいくことに変わりはありません。加えて、学力だけでなく、自分で考え、知的好奇心を持って様々なことに取り組む生徒の育成をめざしていきたいと思っています」と語ってくれた。自身が獨協高等学校、獨協医科大学の出身であり、同大学で約40年にわたり研究、診療、教育に携わり、その功績から名誉教授の称号を授与されている。完全中高一貫の男子校である同校。昨年度の状況を伺うと、理系が約110名、文系が約90名と理系が少し上回っている。さらに理系においては、毎年約30名が医学部系を受験する傾向が続いている。獨協の138年にわたる長い歴史を振り返ると、近代日本の医学はドイツを手本としていたことから、ドイツと縁が深い獨協では、設立時から医学部系への進学率が比較的高い。詩人としても名高い木下杢太郎はじめ、がん研究の第一人者で癌研所長であった佐々木隆興、東大名誉教授となった精神科医内村裕之など、そうそうたる医学部出身者が名をつらねており、医学部をめざす生徒が多い歴史的背景があるのだ。

第23代校長の上田善彦先生(獨協医科大学出身)

高大連携により、獨協医科大学への
系列推薦校枠10名を新設

「具体的には、他人を思いやり、うやまう気持ちがあり、コミュニケーション能力がある生徒を大学側が求めているということです。そこで、身近な1歩として、挨拶ができる生徒になって欲しいと考えています」。毎朝8時に正門に立ち、全校生に挨拶をする習慣を自ら続けているという。「社会生活において挨拶は基本です。自ら心を開き、他人を認め、うやまう。人に優しくすることができる心の教育だと思います」。>「私が獨協医科大学から来たからといって、医学部に特化するわけではありませんが、獨協医科大学との高大連携がスタートしたのは大きなトピックといえます。具体的には系列校推薦枠が新設され、2022年度入試から獨協埼玉高校と合わせて10名までが系列校推薦枠となります。ただここで言いたいのは、どんな人材が求められているかということです」と言葉を続け、昨今は医学部に限らず、成績優秀というだけではダメ。人間性にすぐれた生徒を選ぶ傾向があるという。「具体的には、他人を思いやり、うやまう気持ちがあり、コミュニケーション能力がある生徒を大学側が求めているということです。そこで、身近な1歩として、挨拶ができる生徒になって欲しいと考えています」。毎朝8時に正門に立ち、全校生に挨拶をする習慣を自ら続けているという。「社会生活において挨拶は基本です。自ら心を開き、他人を認め、うやまう。人に優しくすることができる心の教育だと思います」。今まで獨協の歴史に脈々と受け継がれている古き良き伝統「上品な人間の育成」を発展、社会に出てリーダーとして活躍できる人を育成する。そのためにはバランスがとれていることが大事。社会人文学的な感性、芸術も含めた広い教養を兼ね備えた生徒を育てたいと語る。

約8万点の蔵書数を誇る図書館。書籍、雑誌、新聞、CD、DVDなどの多種多様な資料がそろっており、休み時間や放課後には多くの生徒が利用している。

国公立大学を含め、柔軟に
大学や学部選びの情報を発信

獨協は、中学からの6年間一貫教育であることで、ギスギスせずのびのびした雰囲気がある。一方で「受験に偏重するわけではないが、大学進学という出口をしっかり準備し、できるだけ現役で入学してもらいたい」とも。そこで上田校長は、早稲田、慶應といった大学のブランドにこだわるのでなく、地方の国公立大学も含めて、自分に合う大学や学部選びについて、もっと柔軟に各大学の情報を発信していきたいと考えている。「国公立大学を選択肢に入れられるように、中学校では五科目全部をまんべんなく学習してもらいたい。特に中学時代は基礎固めが重要です。最初の2年間は、宿題ノートを担当教師がチェックして勉強の習慣をつけ、嫌いな科目をなくす方向です」と話す。大学についても、すでに獨協医科大学は中3で、早稲田大学へは高1、高2で大学を訪問、東京大学には高2が理系研究室を訪問しており、大学受験を見据えた夢の実現へのモチベーションを高めている。

獨協OB の人脈を生かした講演が
将来の目標を見出す一助に

大学訪問に加え、獨協OBによる講演会も実施している。伝統校らしく様々な分野で活躍する著名人も多い。そうした人脈を生かした講演は好評だという。「獨協には医者の卒業生の会『獨協ドクターズクラブ』もあります。有名な医師も多く、OBの医師から話をきく機会も今まで以上に増やしていきたいと考えています」。いくつもの新たな取り組みを打ち出す上田校長。生徒たちの将来を見据えて、身近なところから1歩ずつ踏み出した新しい動きに注目したい。

伝統的にドイツ語教育に力を入れており、高1からドイツ語を学ぶことができる。写真はネイティブ教員による授業の様子

校内にビオトープや屋上緑化など
環境教育も学校生活のなかで実践

最後に獨協ならではの特徴的な教育について紹介したい。同校では、昔から英語とともにドイツ語の学習も実施していることで知られている。グローバルな視点からドイツへの研修旅行を毎年実施している。夏休みの10日間をベルリン、ハノーファ、ミュンヘンなどの都市を訪れ、高校生宅にホームスティ。環境教育施設や学校を視察するプログラムだ。中2から高2までの希望者で、毎年約20名が参加。ドイツは環境先進国であり移民の受け入れにも積極的。そうしたドイツの姿にじかに触れることで、日本の近未来の社会問題を考えることにもなり、貴重な体験となっている。実際、環境教育に積極的で、校内には川が流れるビオトープがあり、生徒たちが管理・手入れをしている。清水でしか育たないホタルが生息、今年も成虫になり、6月に光が乱舞する鑑賞会が行われたという。また校舎の屋上には野菜畑がある。ゆっくり少ない水で育てる方法で、取材時にはトマトやナス、すいかなどの夏野菜が実をつけていた。屋上緑化で建物の温度上昇を抑えるとともに収穫も。自然環境に配慮したユニークな取り組みだ。また、世界自然遺産である米国イエローストーンへのサイエンスキャンプも実施。間欠泉の熱湯に生息するバクテリアや豊かな自然に生きる動物との出会いなど、日本では体験できないプログラムとなっている。21世紀を生きぬいていくために必要な環境教育を重視する獨協。「人類と他の生物との共存」を推進できる「知性・感性・人間性」を育てる実践的な取り組みは、獨協ならではといえる。

屋上スペースを有効活用、トマトやナス、ゴーヤなどを育てている。わずか6リットルの土に3か月をかけてゆっくりと溶け出す

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