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2021.08.30

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生徒が成長するタイミングはそれぞれ。
動き出すまで待つ姿勢が、居心地の良さを生む

「質実剛健」の武士の魂と「自主自律」の禅の精神を受け継ぎ、教育モットーに「文武両道」を掲げる鎌倉学園中学校・高等学校。その言葉どおり、生徒たちの主体性を引き出し、個性を伸ばす教育を行ってきた。2021年度入試では合格実績が飛躍的に向上するなど、結果にもつながっている。そんな”カマガク”の魅力を探るべく、進路指導担当の松井秀範先生と生徒2名に話を聞いた。

合格実績大躍進の背景に
あるのは、学年の団結力

2021年度入試では、例年の約1.5倍となる90名(うち現役は69名)の国公立大合格者を輩出した同校。早慶上智をはじめとした難関私立大合格者数も大きく伸びた。その背景について、松井先生はこう話す。
「昨年度の高3の学年から、クラス編成を変えました。高1のときから主要教科について習熟度別に分け、3年次には国公立理系クラスに加え、新たに国公立文系クラスを開設しました。ただ、合格実績が向上したのは3年間の取り組みの成果もあるとは思いますが、一番大きかったのは生徒も先生も一丸となって受験に向かっていった学年の力。途中で志望校を変更した生徒も少なく、最後まで粘って国立大学の後期日程で合格した生徒も多数いました」
生徒の団結力や卒業生の絆、そして愛校心の強さが特長の鎌倉学園だが、なかでもこの学年のつながりの強さは群を抜いていたという。中学2年間を担任した松井先生は、当時をこう振り返る。
「学園祭でみんなで歌ったりソーラン節を踊ったり、全体で一つのことに取り組んで盛り上げていこうという空気が教員の間にもありました。そうしたなかで、学年に一体感が生まれていったように感じます。生徒間はもとより教員と生徒との関係がとてもよく、和気藹々とするなかで信頼感も生まれて、『この先生が言うならやってみようか』と生徒が素直に思えるようになったのかなと。大学受験に際しても、国公立大は多科目受験で大変ですが、せっかく国公立クラスで頑張ってきたんだから最後までみんなで頑張ろうよ、という空気を作れたのは大きかったですね」
みんなで頑張ろうという空気はあっても、「国公立クラスだからといって、生徒に国公立大の受験を強制することはしなかった」と松井先生。「生徒の意思や主体性を尊重してこそカマガク。決めるのは生徒自身。教員がレールに乗せるようなことはしない」ときっぱりと言う。全体の合格実績が上がったのはあくまでも結果論。生徒一人ひとりが自分で進路を選択し、実現させることこそが、先生たちの願いなのだ。

タブレットを使った鎌学セミナーの様子

学園祭恒例の入場門

生徒を虜にする、
カマガクの魅力とは?

続いて、生徒にも話を聞いた。高校3年生の滑川寛さんは、「男子校の方が気楽でよさそうと思った。カマガクを選んだのは、正直なところ、自宅のある横浜から空いている電車で通学できるから」とさらりと話す。しかし、入学してみると思った以上に居心地が良く、「今ではカマガク色に染まってしまった」と笑顔を見せる。 中学3年生の盧曹承哲さんも、「男子校に行きたかった」と言う。塾の先生のすすめでカマガクを知り、調べたところ、「明るく元気な学校というクチコミで、いいなと惹かれた」のだという。現在の印象を尋ねると、「クチコミ以上にみんな元気で明るくて、毎日がめちゃくちゃ楽しい。カマガクにしてよかった」と大満足の様子。コロナ禍でも関係なく、男子校生活を謳歌しているようだ。 二人はESSの先輩と後輩。滑川さんは中学時代は別の部に所属していたが、中3のときにESSの顧問の先生に出会ったのをきっかけに、高校生になってから入部した。「ESSでは、外国人観光客に英語で鎌倉案内をするという活動をしています。昨年度はコロナの影響で活動ができなくなったのですが、すぐにオンラインに切り替え、オンラインツアーを実施しました。オンラインだと海外在住の方にも参加してもらえて、幅が広がりました」(滑川さん) 一方、英語力を伸ばしたいと考えてESSに入部した盧さん。「チームのメンバーと一緒にあれこれ意見を出し合いながらツアーを作り上げていくのが楽しい。笑いが絶えない部活」と言う。オンラインでの活動が続いていたが、最近になり、実地での観光案内も再開できたそうだ。 勉強面はどうだろうか。部活を引退し、現在は受験勉強に励む滑川さん。某難関私立大の総合型選抜・一般選抜を目指している。「中高一貫校ならではの中だるみ期間はあったのですが、高校生になってからは勉強しなきゃというスイッチが入りました。熱量に個人差はありますが、周囲も似たような感じです。総合型選抜では、3Dプリンターなどを使って続けてきたものづくりの活動について、アピールしようと考えています」(滑川さん) 中3の盧さんは、まさに今、中だるみ期にあると笑うが、好きな科目もあり勉強には前向きだ。「やりたいことはまだ決まっていないけど、これから見つけていきたい」と語ってくれた。

ESSによる英語での観光案内(左/滑川さん)

有志によるオンライン学校説明会(左後ろ/盧さん)

サポートはするが強制はしない。
先生の姿勢が自主性を育む

ところで、滑川さんに3Dプリンターを使える外部の施設を紹介してくれたのは、中2のときの担任の先生だった。ものづくりにハマっている滑川さんの姿を見て、すすめてくれたのだという。生徒に強制や無理な誘導はしないものの、生徒をよく見て的確な声を掛ける観察眼はさすがだ。松井先生はこう語る。 「顧問も担任も教科担当も、生徒のことをよく見ていると感じます。サポートはするけど、強制はしない。ぐんと成長する時期が早い子もいればゆっくりな子もいるのは当然のこと。親とは違う立場で、本人が動き出すまで待つ、見守るという我々教員のスタンスが、生徒の居心地の良さにもつながっているのかなと思います。人間的な魅力があり、生徒の心をつかむのが上手い先生も多いですね」 最後にもう一つ、カマガクの魅力のエッセンスを。それが、全校を挙げての「文武両道」だ。運動部のなかには強豪チームもあるが、運動部に入っている生徒が活躍するだけでなく、卒業生まで含めて学校全体が運動部を応援するという意味で、真の「文武両道」を成し遂げているのだ。松井先生は、こう締めくくった。「運動部で頑張る生徒のことを、本当にみんなで応援するんですよ。それによってさらに一体感が生まれているのだと感じます。男子校ならでは、カマガクならではですね。それが、うちの強さの秘訣かもしれません」

硬式野球部は秋季大会準優勝

軟式野球部は全国大会出場

硬式テニス部は関東大会出場

アメリカンフットボール部は全国大会出場

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